「-・・・!」
世界で最も深い海はどこにあるのだろうか?
どれ程、深いのだろうか?

「・・・・う!」
海に潜れば音は振動という科学的な真意に近づく
この 頭へ直接響いていく感覚

「・・・ちょう!」
深海から上へ上へ

「・・んちょう!!」
斜陽が差す。瞼の裏でも光を感じる

「船長!!!起きろよ!!!」
水面から顔を出すと そこには太陽ではなく
眉間に皺を寄せた男の顔があった



「ン・・?あぁ、邑雲か・・・」
その顔はよく見知ったものだった
かつて共に海を駆ってきた仲間だった男

邑雲は溜息をつきながら
「あぁ・・・じゃねぇよ。久々に会いに来たっていうのに・・・」

邑雲と会うのは3年ぶりだった
当時、自分の船には副官が4人居り 陸に上がってからそれぞれが
散り散りとなっていた

その4人の中の1人 邑雲は新たに乗り込む船を捜すと言っていたはずだった

「お前、新しい雇い主が見つかったんじゃないのか?」

邑雲は鼻を鳴らしながら
「おうよ!交易船の操船技師として雇われたんだが・・・ブリストル海賊に奇襲されてなぁ・・・せ」

「船長が船員を奴隷として差し出す代わりに見逃してくれと言ったものだから 船長を縛り上げて積荷と一緒に差し出したんですよね」
言葉の途中で別の男の声が続いた

ふと目線を邑雲の後ろに移すと 大柄で角ばった髪型が特徴の男が立っている

「琥鉄・・・」

「お久しぶりです。船長」

琥鉄は以前の副官の1人 一番最初に副官として就けた男だった

邑雲が驚いた顔をする
「あ、アニキ!こんな所で・・・どうしたんだ?」

こんな所とは随分な物言いだろう

・・・が 生物学や航海学の書物が転がっているこの部屋では何と言われても仕方がない

邑雲の問いを無視して 琥鉄はこちらへ歩み寄り
「船長。この度は・・・再出航の勅令。心よりお慶び申し上げます」
深く頭を下げる

勅令

「へぇ・・・聞いてたのか」

数ヶ月前 大公より数名の元航海者に対して再出航の勅令が与えられた
独覇であった東方交易図を打ち潰される危機感に見舞われたのか
古来レコンキスタを繰り広げたブルゴーニュ朝の血が騒いでの事か・・・

どうでも良い事だが・・・

「で、勅令が降りた。から、どうするんだ?」
怪訝な口調で琥鉄に問い詰める

「準備は整っております。船長、ご命令を」

2人のやり取りを聞きながら だんまりだった邑雲が声を上げる
「お、おい!!なんだよ!聞いてねぇぞ?船長また海に出るのかよ!?」

溜息をつきながら
「出るんじゃない。出ろ。と言われただけだ」

邑雲は声を張り上げる
「言われただけって。結局出るンじゃねーか!俺はどうするんだよ?!」

「どうするもこうするも以前とは違う。これは国業としての事だ」

言ったものの 無論そんな気持ちは一切ない
だが、副官の選定においても国家の意にある それは避けられない

と 琥鉄が堅い口調で告げる
「船長。ご報告致します 副官候補の一名が疾病にて今朝、息を引き取ったそうです 大公より後1名の選定は船長の一存で構わないとの伝令を受けました」

・・・

数秒 空気が固まる




「よっしゃぁ!!俺!俺でいいよな!?決まり!!」
邑雲が両手を掲げて喜びの声を挙げた


そんな邑雲を尻目に琥鉄の顔を睨む
「琥鉄。大公の意に背く事は刑死も免れないぞ?」


「意に反してでも 変えられぬ物もある 船長が一番分かってられてる事でしょう」
そう言うと 琥鉄は微かに笑みを浮かべ外に出た


またも溜息をつきながら
「お前を最初の副官にした事、後悔するよ」
そう口から溢した





天候は悪し 嵐の予兆か 
雲が厚く空を覆い 空気が生暖かい


久しぶりの船の上で 船員達に目を配らす
この天候で地獄にでも行こうというのか

だが 誰もがそれを諭している上で大声を張り上げ
海へ出ようとしている

構わない ただ乗っていくだけだ

「総員、出航する」





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どうも、3ヶ月ぶりで戻ってきました中の人です。
リアルも若干落ち着きまして
以前よりは全くインできないと思いますが昨日より生き返ってます

適当にやっていくつもりですので
見つけたら目でも逸らしてあげてくださいw

コメント

nophoto
エルザ
2009年2月7日13:53

 おk、全力で目を逸らします!!(=゚ω゚)ノ

nophoto
mura
2009年2月23日4:13

エルザさん
アラフォーって言っても全力で見逃してください!!

nophoto
mino
2009年6月24日1:56

よーう!元気?

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