蘭国の海賊
2008年9月8日久しぶりにインドへ修行にやってきた
ここの海賊は地中海方面のヤワな海賊と比べて戦りがいがある
油断をすれば海の藻屑だろう
風を読み 的確な操船を持って駆逐する
それを繰り返し 己の感覚を研ぎ澄ます
ふとカリカットへ寄航しようとしていた時の事だった
ある蘭国籍の海賊の前にポルトガル国籍の商船が齷齪してしていた
沿岸に出れば海賊の餌食になる事は必至
船内の様子を見ると随分と交易品を積み込んでいた
「ふむ・・・」
少し考える
こちらは戦列艦
海賊船は北欧型重ガレー
表面的な砲撃力ならばこちらが上だが
その海賊は自分よりも手練れだというのは一目で分かった
そしてこちらの船が随分と煤けているのに比べ
海賊の船は殆ど傷ついてはいない
勝算はあまりない
しかし ポルトガル商船を目の前で見捨てて悠々と動くのも目覚めが良いもんじゃあない
考えた末、出た答えは「戦う」
海賊船が補給に入ったと同時に自船も入港
直に補給し出航
例の商船は未だ街の庇護下の海域で海賊の動向を窺っていたが
海賊船が入港したのを安心してか少しずつ街から遠ざかろうとしていた
邑雲がぼんやりと呟く
「おいおい、遅すぎるぜ・・・」
邑雲のぼやきは的中した
直に海賊船は出航し 商船を捕らえられる位置まで動き出した
商船は慌てて再びカリカットに逃げ込もうとする
やれやれ・・・
商船の動きに合わせて動く海賊船に対して臨戦態勢をとる
敵船に聞こえるよう
「勝負」
すると海賊船からは意外な声が返ってきた
「いいけどぉ〜」
驚いた
海賊船の船長は女だった
だが、誰であろうと海賊だ
一度切って落とした火蓋を閉じるつもりはない
お互い距離を取る
その内に商船の船長に船員を使い
「今のうちにでな」と声をかける
これで懸念は吹き飛んだ
ここで逃げても良かったが
それも礼儀に反するだろう
風を読み 相手に砲撃を降らす
相手からも砲撃が叩き込まれる
やはり船の性能ありきとしても砲撃の力は五分
撃ち合いの末、距離が詰まってゆく
このタイミングだ
「機雷を巻け!!」
無数に投下される機雷
これで縄張りが出来た
まぁ、相手の船からして易々と吹き飛ぶとも思えないが・・・
機雷に気がつかないまま 相手の船首がこちらへ傾く
船内に鈍い音が走った
邑雲が声を上げる
「ラムによる突撃で被害甚大!」
予想はしてたがラム持ちか・・・
敵の攻撃は止まない
そのまま接舷状態に入り白兵戦が始まる
船員達の怒号が走る
剣戟の擦り切る音がする
船員数では負けている
「撤収!!」
鐘を鳴らし 船員を一気に引き上げさせる
船員の被害は甚大では無かったものの
随分と冷や汗をかかされた
再び距離を置く
敵船も機雷による被害を数度被り
縄張りを嫌ったのだろう 距離を開けていく
幾度か同様の激突を繰り返す
迅速な装填、一撃集中、回避動作
流れるように指示を出す
数度と無くぶつかる中で相手の動きのクセが少しずつ分かってきた
手練れと言えども 甘さが出てくる瞬間
機雷源を作りこみ 相手の嫌がりを誘いそのチャンスを狙う
そしてその時は来た
叫ぶ
「撃て!!」
放たれる砲弾
敵の船尾に煙が上がる
しかし、敵船はまだ戦えると言わんばかりに舵を切る
見出したチャンスを掴み損ね 船室の壁に怒りをぶつける
「クソッ!」
こちらの一撃を持ってしても
敵の武器は潰えてなかった
的確にラムで相手を抉り
自分の流れを掴む
砲撃の後 ラムによる突撃
そして 相手に回復の術をなくし 爆薬で仕留める
10日以上の戦闘の後
敵船に敗れる
命こそ奪われはしなかったが
大砲と金貨を持っていかれてしまった
敗北の後 敵の船を見つめる
自分との戦いで傷ついたのだろう
船は以前の状態から若干だが傷が目立つ船になっていた
これが自分か・・・
情けない思いが涌いて来る
だが、感受しなければならない
如何なる場合でも 敗者は敗者に変わりは無い
海賊に声をかける
「強くなってまた挑む」
海賊の女は相も変わらず
「あいあい」
と気さくな返事をして その場を後にした
カリカットの街で一服して思いにふける
「なぁ、邑雲?」
「なんだよ?」
邑雲は未だ治まりきらないのかぶっきらぼうに答える
「何で海賊に喧嘩売ったんだっけ・・・?」
ここの海賊は地中海方面のヤワな海賊と比べて戦りがいがある
油断をすれば海の藻屑だろう
風を読み 的確な操船を持って駆逐する
それを繰り返し 己の感覚を研ぎ澄ます
ふとカリカットへ寄航しようとしていた時の事だった
ある蘭国籍の海賊の前にポルトガル国籍の商船が齷齪してしていた
沿岸に出れば海賊の餌食になる事は必至
船内の様子を見ると随分と交易品を積み込んでいた
「ふむ・・・」
少し考える
こちらは戦列艦
海賊船は北欧型重ガレー
表面的な砲撃力ならばこちらが上だが
その海賊は自分よりも手練れだというのは一目で分かった
そしてこちらの船が随分と煤けているのに比べ
海賊の船は殆ど傷ついてはいない
勝算はあまりない
しかし ポルトガル商船を目の前で見捨てて悠々と動くのも目覚めが良いもんじゃあない
考えた末、出た答えは「戦う」
海賊船が補給に入ったと同時に自船も入港
直に補給し出航
例の商船は未だ街の庇護下の海域で海賊の動向を窺っていたが
海賊船が入港したのを安心してか少しずつ街から遠ざかろうとしていた
邑雲がぼんやりと呟く
「おいおい、遅すぎるぜ・・・」
邑雲のぼやきは的中した
直に海賊船は出航し 商船を捕らえられる位置まで動き出した
商船は慌てて再びカリカットに逃げ込もうとする
やれやれ・・・
商船の動きに合わせて動く海賊船に対して臨戦態勢をとる
敵船に聞こえるよう
「勝負」
すると海賊船からは意外な声が返ってきた
「いいけどぉ〜」
驚いた
海賊船の船長は女だった
だが、誰であろうと海賊だ
一度切って落とした火蓋を閉じるつもりはない
お互い距離を取る
その内に商船の船長に船員を使い
「今のうちにでな」と声をかける
これで懸念は吹き飛んだ
ここで逃げても良かったが
それも礼儀に反するだろう
風を読み 相手に砲撃を降らす
相手からも砲撃が叩き込まれる
やはり船の性能ありきとしても砲撃の力は五分
撃ち合いの末、距離が詰まってゆく
このタイミングだ
「機雷を巻け!!」
無数に投下される機雷
これで縄張りが出来た
まぁ、相手の船からして易々と吹き飛ぶとも思えないが・・・
機雷に気がつかないまま 相手の船首がこちらへ傾く
船内に鈍い音が走った
邑雲が声を上げる
「ラムによる突撃で被害甚大!」
予想はしてたがラム持ちか・・・
敵の攻撃は止まない
そのまま接舷状態に入り白兵戦が始まる
船員達の怒号が走る
剣戟の擦り切る音がする
船員数では負けている
「撤収!!」
鐘を鳴らし 船員を一気に引き上げさせる
船員の被害は甚大では無かったものの
随分と冷や汗をかかされた
再び距離を置く
敵船も機雷による被害を数度被り
縄張りを嫌ったのだろう 距離を開けていく
幾度か同様の激突を繰り返す
迅速な装填、一撃集中、回避動作
流れるように指示を出す
数度と無くぶつかる中で相手の動きのクセが少しずつ分かってきた
手練れと言えども 甘さが出てくる瞬間
機雷源を作りこみ 相手の嫌がりを誘いそのチャンスを狙う
そしてその時は来た
叫ぶ
「撃て!!」
放たれる砲弾
敵の船尾に煙が上がる
しかし、敵船はまだ戦えると言わんばかりに舵を切る
見出したチャンスを掴み損ね 船室の壁に怒りをぶつける
「クソッ!」
こちらの一撃を持ってしても
敵の武器は潰えてなかった
的確にラムで相手を抉り
自分の流れを掴む
砲撃の後 ラムによる突撃
そして 相手に回復の術をなくし 爆薬で仕留める
10日以上の戦闘の後
敵船に敗れる
命こそ奪われはしなかったが
大砲と金貨を持っていかれてしまった
敗北の後 敵の船を見つめる
自分との戦いで傷ついたのだろう
船は以前の状態から若干だが傷が目立つ船になっていた
これが自分か・・・
情けない思いが涌いて来る
だが、感受しなければならない
如何なる場合でも 敗者は敗者に変わりは無い
海賊に声をかける
「強くなってまた挑む」
海賊の女は相も変わらず
「あいあい」
と気さくな返事をして その場を後にした
カリカットの街で一服して思いにふける
「なぁ、邑雲?」
「なんだよ?」
邑雲は未だ治まりきらないのかぶっきらぼうに答える
「何で海賊に喧嘩売ったんだっけ・・・?」
コメント