怪奇が潜む川
2008年8月16日地図を辿り、西へ西へ
行き着いた先は故郷リスボンより遥か南西の地、東南アジア
香料諸島と冠付けられるかの地は
未踏の世界を探求せんとする冒険家
己を精鋭へと磨かんとする軍人
一攫千金の大交易を夢見る商人
それら様々な欲や想いが集まる地
自分は何を求めここまで来たのか?
何て事はない。ただ各所の海域調査をこなしていたら辿り着いたというだけである
今回もジャカルタの依頼仲介人から「ある怪奇な噂のある川」の調査の依頼を受けている
ヤーディンの街の横に流れる川が噂の川という事もあり
かの地の住人に話を聞くも、皆「近づくんじゃない」の一点張りだった
「船長・・・誰に聞いても「やめておけ」だぜ?これじゃ話にならねぇよ」
邑雲は半ば疲れきった様な表情でそう漏らす
「悪い噂なんて聞きたくとも話したくともないでしょう。仕方ありませんよ」
楓伐も諦めの含みを持たせているのか、俯きながら呟いた
誰も話したがらない
つまりはお手上げの状況だ。それは分かる
が、一つ腑に落ちない点もある
何故、街からそう離れていない川なのに誰も関わろうとしないのか
耕作、漁業において川という存在は不可欠ではないにしろ
あれば大きな発展の基となる
なのに近づかない。それは何故なのか?
疑問を残しつつも調査の進展が見られないまま、その日はヤーディンの街にて一晩を過ごす事となり 船員を引き連れ酒場へ足へ運んだ
マスター「揃いも揃って随分と暗い表情じゃないか?海賊にでもやられちまったかい?」
こちらを見るや否やマスターは訝しげに話しかける
「いや、調査があまり進まなくてね」
「そうかい。あんたら確か街の東を流れる川の事を調べてるんだっけか?随分と悪い時期にきたもんだよ」
「悪い時期・・・?」
「あぁ、最近変な噂があってな。なんでも人を船ごと飲み込んじまう巨大ナマズが居るって噂だ」
「巨大ナマズ?」
「俺は噂でしか聞いたことねぇけどよ。そこの船乗りの兄さんなら何か知ってるかもよ」
マスターが目配せた先には1人の大柄な船乗りが居た
早速男の元へ行き尋ねてみる
「すいません。この街の東の川について聞きたいのですが」
「ん?あぁ、メコン川の事か。随分とおかしな噂に惑わされちまってるよな。もしかして・・・あんたらそれで調査依頼をされたとか?」
男は半分何かに期待をした様な笑みで聞いてくる
「えぇ」
「ぶは!本当かよ!腹いてぇなオイ!」
げらげらと笑う男に多少苛立ちを覚えるが・・・何かを知っている
改めて川について聞き質す
「あの川には何かあるんでしょうか?」
男は笑い止まぬ様子だったが
「いや・・・確かにな。街のヤツらの言うとおり巨大ナマズは居るんだよ。でもな、船を飲み込めるってのはちぃっと違うんだ。でかいが狩れば大物も大物。それだけで船を飲み込めるって程じゃあない」
「それとな。あの川はだだっ広くて長さも半端じゃねぇ。でも深さは思った程じゃあないんだ。噂が流れる前は普通に皆利用してたろうぜ」
なるほど・・・
一時の噂から畏怖されて今に至る訳か
立て続けて男は話す
「多分街の誰かが面白半分でそんな噂を流したんだろうよ。きっとここまで大事になるなんて思っていなかったろうから、今は血相抱えてるんじゃないか?バカなヤツだ」
その後、噂を流したとされる男を無事に見つけ
事の詳細を聞き出し、必要な情報を集めた
そしてジャカルタに戻り、現在に至る
ふう、噂とは時には難儀になるものだ・・・と
仲介人にとっとと報告を済ませよう
仲介人「お?あんた依頼を請けたままだろう?」
「へ?」
仲介人「分かってるとは思うが、実地で調査を行ってくれと依頼したはずだぞ?」
「・・・」
その後、半月をかけヤーディンに戻りメコン川の調査を行い、さらに半月をかけジャカルタへ戻る事となった
その間、邑雲 楓伐から終始冷ややかな目で見られていたのは言うまでもない
航海とは常に油断の許さない過酷なものなのである・・・・・ふう
行き着いた先は故郷リスボンより遥か南西の地、東南アジア
香料諸島と冠付けられるかの地は
未踏の世界を探求せんとする冒険家
己を精鋭へと磨かんとする軍人
一攫千金の大交易を夢見る商人
それら様々な欲や想いが集まる地
自分は何を求めここまで来たのか?
何て事はない。ただ各所の海域調査をこなしていたら辿り着いたというだけである
今回もジャカルタの依頼仲介人から「ある怪奇な噂のある川」の調査の依頼を受けている
ヤーディンの街の横に流れる川が噂の川という事もあり
かの地の住人に話を聞くも、皆「近づくんじゃない」の一点張りだった
「船長・・・誰に聞いても「やめておけ」だぜ?これじゃ話にならねぇよ」
邑雲は半ば疲れきった様な表情でそう漏らす
「悪い噂なんて聞きたくとも話したくともないでしょう。仕方ありませんよ」
楓伐も諦めの含みを持たせているのか、俯きながら呟いた
誰も話したがらない
つまりはお手上げの状況だ。それは分かる
が、一つ腑に落ちない点もある
何故、街からそう離れていない川なのに誰も関わろうとしないのか
耕作、漁業において川という存在は不可欠ではないにしろ
あれば大きな発展の基となる
なのに近づかない。それは何故なのか?
疑問を残しつつも調査の進展が見られないまま、その日はヤーディンの街にて一晩を過ごす事となり 船員を引き連れ酒場へ足へ運んだ
マスター「揃いも揃って随分と暗い表情じゃないか?海賊にでもやられちまったかい?」
こちらを見るや否やマスターは訝しげに話しかける
「いや、調査があまり進まなくてね」
「そうかい。あんたら確か街の東を流れる川の事を調べてるんだっけか?随分と悪い時期にきたもんだよ」
「悪い時期・・・?」
「あぁ、最近変な噂があってな。なんでも人を船ごと飲み込んじまう巨大ナマズが居るって噂だ」
「巨大ナマズ?」
「俺は噂でしか聞いたことねぇけどよ。そこの船乗りの兄さんなら何か知ってるかもよ」
マスターが目配せた先には1人の大柄な船乗りが居た
早速男の元へ行き尋ねてみる
「すいません。この街の東の川について聞きたいのですが」
「ん?あぁ、メコン川の事か。随分とおかしな噂に惑わされちまってるよな。もしかして・・・あんたらそれで調査依頼をされたとか?」
男は半分何かに期待をした様な笑みで聞いてくる
「えぇ」
「ぶは!本当かよ!腹いてぇなオイ!」
げらげらと笑う男に多少苛立ちを覚えるが・・・何かを知っている
改めて川について聞き質す
「あの川には何かあるんでしょうか?」
男は笑い止まぬ様子だったが
「いや・・・確かにな。街のヤツらの言うとおり巨大ナマズは居るんだよ。でもな、船を飲み込めるってのはちぃっと違うんだ。でかいが狩れば大物も大物。それだけで船を飲み込めるって程じゃあない」
「それとな。あの川はだだっ広くて長さも半端じゃねぇ。でも深さは思った程じゃあないんだ。噂が流れる前は普通に皆利用してたろうぜ」
なるほど・・・
一時の噂から畏怖されて今に至る訳か
立て続けて男は話す
「多分街の誰かが面白半分でそんな噂を流したんだろうよ。きっとここまで大事になるなんて思っていなかったろうから、今は血相抱えてるんじゃないか?バカなヤツだ」
その後、噂を流したとされる男を無事に見つけ
事の詳細を聞き出し、必要な情報を集めた
そしてジャカルタに戻り、現在に至る
ふう、噂とは時には難儀になるものだ・・・と
仲介人にとっとと報告を済ませよう
仲介人「お?あんた依頼を請けたままだろう?」
「へ?」
仲介人「分かってるとは思うが、実地で調査を行ってくれと依頼したはずだぞ?」
「・・・」
その後、半月をかけヤーディンに戻りメコン川の調査を行い、さらに半月をかけジャカルタへ戻る事となった
その間、邑雲 楓伐から終始冷ややかな目で見られていたのは言うまでもない
航海とは常に油断の許さない過酷なものなのである・・・・・ふう
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