「-・・・!」
世界で最も深い海はどこにあるのだろうか?
どれ程、深いのだろうか?

「・・・・う!」
海に潜れば音は振動という科学的な真意に近づく
この 頭へ直接響いていく感覚

「・・・ちょう!」
深海から上へ上へ

「・・んちょう!!」
斜陽が差す。瞼の裏でも光を感じる

「船長!!!起きろよ!!!」
水面から顔を出すと そこには太陽ではなく
眉間に皺を寄せた男の顔があった



「ン・・?あぁ、邑雲か・・・」
その顔はよく見知ったものだった
かつて共に海を駆ってきた仲間だった男

邑雲は溜息をつきながら
「あぁ・・・じゃねぇよ。久々に会いに来たっていうのに・・・」

邑雲と会うのは3年ぶりだった
当時、自分の船には副官が4人居り 陸に上がってからそれぞれが
散り散りとなっていた

その4人の中の1人 邑雲は新たに乗り込む船を捜すと言っていたはずだった

「お前、新しい雇い主が見つかったんじゃないのか?」

邑雲は鼻を鳴らしながら
「おうよ!交易船の操船技師として雇われたんだが・・・ブリストル海賊に奇襲されてなぁ・・・せ」

「船長が船員を奴隷として差し出す代わりに見逃してくれと言ったものだから 船長を縛り上げて積荷と一緒に差し出したんですよね」
言葉の途中で別の男の声が続いた

ふと目線を邑雲の後ろに移すと 大柄で角ばった髪型が特徴の男が立っている

「琥鉄・・・」

「お久しぶりです。船長」

琥鉄は以前の副官の1人 一番最初に副官として就けた男だった

邑雲が驚いた顔をする
「あ、アニキ!こんな所で・・・どうしたんだ?」

こんな所とは随分な物言いだろう

・・・が 生物学や航海学の書物が転がっているこの部屋では何と言われても仕方がない

邑雲の問いを無視して 琥鉄はこちらへ歩み寄り
「船長。この度は・・・再出航の勅令。心よりお慶び申し上げます」
深く頭を下げる

勅令

「へぇ・・・聞いてたのか」

数ヶ月前 大公より数名の元航海者に対して再出航の勅令が与えられた
独覇であった東方交易図を打ち潰される危機感に見舞われたのか
古来レコンキスタを繰り広げたブルゴーニュ朝の血が騒いでの事か・・・

どうでも良い事だが・・・

「で、勅令が降りた。から、どうするんだ?」
怪訝な口調で琥鉄に問い詰める

「準備は整っております。船長、ご命令を」

2人のやり取りを聞きながら だんまりだった邑雲が声を上げる
「お、おい!!なんだよ!聞いてねぇぞ?船長また海に出るのかよ!?」

溜息をつきながら
「出るんじゃない。出ろ。と言われただけだ」

邑雲は声を張り上げる
「言われただけって。結局出るンじゃねーか!俺はどうするんだよ?!」

「どうするもこうするも以前とは違う。これは国業としての事だ」

言ったものの 無論そんな気持ちは一切ない
だが、副官の選定においても国家の意にある それは避けられない

と 琥鉄が堅い口調で告げる
「船長。ご報告致します 副官候補の一名が疾病にて今朝、息を引き取ったそうです 大公より後1名の選定は船長の一存で構わないとの伝令を受けました」

・・・

数秒 空気が固まる




「よっしゃぁ!!俺!俺でいいよな!?決まり!!」
邑雲が両手を掲げて喜びの声を挙げた


そんな邑雲を尻目に琥鉄の顔を睨む
「琥鉄。大公の意に背く事は刑死も免れないぞ?」


「意に反してでも 変えられぬ物もある 船長が一番分かってられてる事でしょう」
そう言うと 琥鉄は微かに笑みを浮かべ外に出た


またも溜息をつきながら
「お前を最初の副官にした事、後悔するよ」
そう口から溢した





天候は悪し 嵐の予兆か 
雲が厚く空を覆い 空気が生暖かい


久しぶりの船の上で 船員達に目を配らす
この天候で地獄にでも行こうというのか

だが 誰もがそれを諭している上で大声を張り上げ
海へ出ようとしている

構わない ただ乗っていくだけだ

「総員、出航する」





-----


どうも、3ヶ月ぶりで戻ってきました中の人です。
リアルも若干落ち着きまして
以前よりは全くインできないと思いますが昨日より生き返ってます

適当にやっていくつもりですので
見つけたら目でも逸らしてあげてくださいw
手記を閉じる日が来た

航海者としての終焉

数々の苦難を共に乗り越えてきた船に手を触れる
無骨な船体に沁みこんだ潮の臭い

「おやすみ」

そう呟く
こいつが再び波を、風を駆る日はもう来ない

それが流れ着いた先にあったもの

安寧を引き換えに自由を手に入れ

自由を引き換えに安寧を手に入れた

学者は声を揃えて叫ぶだろう

「いかに空虚な人生か!!」


だが、それも答えなのだろう
得た物は数え切れないのだから



手記の最後に

We are living toward the true days
私達は真実の日々に向かい進んで行く

そう記し筆を置いた


「まぁ、またどこかで・・・」

-------



どうもー船長の中の人です。

ご無沙汰しておりますが無期限の休止になります。

というのも
リアルで結婚する事になりました・・・まだ未定ではありますがw

またある日にひょっこりインするかもしれません
その時はまた宜しくお願いします!

ありがとうございました。
どうもー

さぼりまくりの中の人ですw
ネタが・・・ないんすよね・・・w

そんなわけで中型BCに参加してみました!!

最初スキルR5縛りでその後10縛りで12戦!
楽しかったですw

海事中というのもあったので使った大砲は名匠カロネ貫通910を3基

これが・・・落とせないんですよねw

よし、溜め撃ちジャストミート!!って思っても
10とか残ったり・・・・

副官もエルナンの琥鉄はアパで居眠りでジョルジェの政宗という・・・
どうやって戦うかなぁと考えましたが

クリとって削っていくしかないなーと
外周から狙い撃ちで頑張ってみました

結果は与27 被7 修理が1200ちょっとくらいだったはずです
ランク縛りだから熟練もらえず・・・もったいなかったなw
船長の中の手記「書物」
久しぶりの更新になります

海戦明けから中の人が結構忙しくインしてもほったらかしにしてしまう毎日でした
それでも若干ながらスキル上げを行う毎日ですw

ランスロットの「邑雲」が奇襲を覚えたのでちょこちょこ使ってみてたのですが

たまたま襲ったイスラム商船隊から「曲刀練成・極意」なるレシピをゲットしました
初めてレアをゲットしてかなり嬉しいですw

本来なら記念に・・・とずっと取って置きたいのですが
・・・金がなくなってきてまして・・・w

EUに戻り次第売り払おうかと検討中ですw

アップデートや大海戦もあるし、冗談抜きでそろそろEU戻らきゃダメッスねw

あ、あと

インカの入港許可をもらわn
船長の中の手記「褒章」
どうもー
中の人です

週末はガシガシスキル上げをって思ってたのですが
カゼをひいてしまいまして・・・w

台風の影響か蒸し暑い日々に捕まった様です
みなさんもお身体を大事にしてください

でも、「副官経験とファームの開発だけでも・・・」と思い
ちょっとインをしたのですが

メールとアイテムが送られてきているというログが出てきまして

内容はブラガンサ様から大海戦よく頑張ったとかいう事でした
そして大海戦褒章2をゲットw

何だろうねと思い早速中身を空けてみました

ぴこーん!

ベルベットジュストコールを手に入れました!


( ゚д゚)・・・シューチシンシューチシン ナカナイゾー

(´;ω;`)

冒険戻れっていう思召しですかね・・・w

既に一着所持していますのでどなたか入用でしたらメールなりtellなりをお願いしますw

それでは薬飲んで寝ます!おやすみッスー

風吹く時間

2008年9月17日 ゲーム
風吹く時間
大海戦から一夜明け

リスボンにて次の出航準備を進めていた所
知人の腕利き造船職人と出会った

彼女曰く「コラーゲンを補充した」とご機嫌の様だった

こらーげんとは何なのかあまり良く分からないが
彼女のシワについては深く探ると痛い目を見るのでやめておこう

彼女と暫く雑談をしていると
続々と以前所属していた商会のメンバーが集まってきた

これまで自分が所属していた頃でも
こんなに集まった事はない

それが嬉しい事だと思った

その日は陽が沈むまで彼らと会話を楽しんだ

今になって思う 自分は走りすぎていたのではないかと
たまにはこうしてゆっくり街に腰を据え
他愛の無い会話に花を咲かせるのも良いものだ


---次の日、出航準備を整えながら


船員達はセイルの交換を行っている
物資の調達は完了した 後は船がご機嫌になる様に化粧をしてやるだけだ

マストの修繕を行っていた邑雲にふと声をかける
「邑雲、何故風は吹いていると思う?」

急に妙な質問をされ、邑雲は驚いた顔をして振り向く
「ん?何故と言われてもなぁ・・・急に救いになったり命取りになったり・・・神様の気まぐれかねぇ・・・」

「そうか。・・・偶然としても良い風が吹くと気分が良いものだな」

「何言ってんだ?船長・・・」
邑雲は首を傾げながらも 視線を手元に戻した
3日間大海戦お疲れ様でしたー

与14 被3 戦功91 でした

解散されて戦えないことが多かったですね

目標の支援を厚くするっていうのは達成できたかな?と思います
昨日より修理+100 外科+30くらいでした

3日連続爵位貰えたし、課題も増えたので良かったかと

ま、ぼちぼち次の事やっていきますかね・・・w
BCに参加してきました。

マレシャルとれたらと思いまして・・・

まぁ、そこで良い気分じゃない事あったんですがね

こちらネデ&ポル
あちらその他

人数も居ないって事でチャットルームを作って話をしてたんですが
最初こちら人数同じで合計海事レベルは高かったんです
そしたら戦力差がどうこうとあちらさんの
装甲戦列乗り様が始めようとしないわけでして・・・w

で、フレ呼ぶからとしばし待たされ
はじめようかってなった途端
人数、合計レベル共にあちらが余裕で上でした

ま、100勝すればマレシャルなんで自分に良かれなんでしょうがねw

そんなチキン精神いりませんと戦いましたよ
結果は勿論ボロ負けw

何度か続けましたが
あちらさんも最初みたいに人数差がどうこう言わなくなり
有利じゃなきゃ戦えない体質だと言ってるようなもの

戦場もドーナツ型で相手の陣地でレスキル狙い

どうもなぁ・・・英国は騎士道!ってイメージあるんですけど
騎士どころの話じゃあないと・・・悲しいッスねw

流石にムカついたんで相手方の1隻とサシの勝負状態で耐久958の戦列を機雷と貫通込みのキャノンショットのラッシュで最大耐久700以下まで削って味方の中に放り込んでおきました。その後2クリコンボで終了

ま、3隻に包囲されて時間一杯死ななかったし
囲んできてる相手を一度隙狙いで落とせたんで練習としてはまずまず

10:10の時を楽しみにしておきますw
船長の中の手記「09月14日海戦」
どうもー

二日目お疲れ様でしたー

与20 拿1 被4 戦功114
勝利数は50くらいだったはず
小型と中型はあれをこうすれば精鋭対策になるのかーとか
大型は操舵を上げんとーって思いながら戦ってました

大型でも言える話ではあるけども
小型と中型は視野の広い狭いが余計にシビアですね
多少スキルが低くても落ちる

強い弱い慣れ不慣れはありきも
沈めた方が良しで沈められる方は悪し
それは変わりませんね

色々参考になる戦闘がありました

最終日も宜しくお願いします
目標は支援率を高める!ッスねw
船長の中の手記「09月13日海戦」
どもー

大海戦初日お疲れ様でした。

戦績は与撃沈28 被撃沈4 戦功145でした
途中MVPだったらしく、初海戦でそんなバカなと思いましたが
やはり「身の程を知れ」でしたねwこのスコアも含め・・・

何はともあれ提督に感謝

戦いの中で一番嬉しかったのは中型の時に
フェイントから敵のクリを奪った事かな

もっと強くなっていきたいッスねw
どうもー中の人です

インドで絶賛海事アゲ中です
成果としましては
砲術R11から12にアップ
貫通R10から11にアップ
弾道学あと熟練1000弱でR12
水平あと熟練3500弱でR12

全体的に熟練8000近く稼げました

大海戦までに弾道と水平も上げたいけど大砲もギリギリで間に合いそうにもないですw

明日はいよいよ初めての大海戦です。かなり楽しみ!
1隻でも沈めれたら良いなぁw

蘭国の海賊

2008年9月8日
久しぶりにインドへ修行にやってきた

ここの海賊は地中海方面のヤワな海賊と比べて戦りがいがある
油断をすれば海の藻屑だろう

風を読み 的確な操船を持って駆逐する
それを繰り返し 己の感覚を研ぎ澄ます

ふとカリカットへ寄航しようとしていた時の事だった
ある蘭国籍の海賊の前にポルトガル国籍の商船が齷齪してしていた

沿岸に出れば海賊の餌食になる事は必至
船内の様子を見ると随分と交易品を積み込んでいた

「ふむ・・・」
少し考える

こちらは戦列艦
海賊船は北欧型重ガレー

表面的な砲撃力ならばこちらが上だが
その海賊は自分よりも手練れだというのは一目で分かった
そしてこちらの船が随分と煤けているのに比べ
海賊の船は殆ど傷ついてはいない

勝算はあまりない

しかし ポルトガル商船を目の前で見捨てて悠々と動くのも目覚めが良いもんじゃあない

考えた末、出た答えは「戦う」

海賊船が補給に入ったと同時に自船も入港
直に補給し出航

例の商船は未だ街の庇護下の海域で海賊の動向を窺っていたが
海賊船が入港したのを安心してか少しずつ街から遠ざかろうとしていた

邑雲がぼんやりと呟く
「おいおい、遅すぎるぜ・・・」

邑雲のぼやきは的中した
直に海賊船は出航し 商船を捕らえられる位置まで動き出した

商船は慌てて再びカリカットに逃げ込もうとする

やれやれ・・・

商船の動きに合わせて動く海賊船に対して臨戦態勢をとる

敵船に聞こえるよう
「勝負」

すると海賊船からは意外な声が返ってきた
「いいけどぉ〜」

驚いた
海賊船の船長は女だった

だが、誰であろうと海賊だ
一度切って落とした火蓋を閉じるつもりはない

お互い距離を取る
その内に商船の船長に船員を使い
「今のうちにでな」と声をかける

これで懸念は吹き飛んだ

ここで逃げても良かったが
それも礼儀に反するだろう

風を読み 相手に砲撃を降らす
相手からも砲撃が叩き込まれる

やはり船の性能ありきとしても砲撃の力は五分

撃ち合いの末、距離が詰まってゆく

このタイミングだ
「機雷を巻け!!」

無数に投下される機雷
これで縄張りが出来た

まぁ、相手の船からして易々と吹き飛ぶとも思えないが・・・

機雷に気がつかないまま 相手の船首がこちらへ傾く

船内に鈍い音が走った

邑雲が声を上げる
「ラムによる突撃で被害甚大!」

予想はしてたがラム持ちか・・・

敵の攻撃は止まない
そのまま接舷状態に入り白兵戦が始まる

船員達の怒号が走る
剣戟の擦り切る音がする

船員数では負けている
「撤収!!」

鐘を鳴らし 船員を一気に引き上げさせる

船員の被害は甚大では無かったものの
随分と冷や汗をかかされた

再び距離を置く

敵船も機雷による被害を数度被り
縄張りを嫌ったのだろう 距離を開けていく

幾度か同様の激突を繰り返す

迅速な装填、一撃集中、回避動作
流れるように指示を出す

数度と無くぶつかる中で相手の動きのクセが少しずつ分かってきた
手練れと言えども 甘さが出てくる瞬間

機雷源を作りこみ 相手の嫌がりを誘いそのチャンスを狙う

そしてその時は来た
叫ぶ
「撃て!!」

放たれる砲弾
敵の船尾に煙が上がる

しかし、敵船はまだ戦えると言わんばかりに舵を切る
見出したチャンスを掴み損ね 船室の壁に怒りをぶつける
「クソッ!」

こちらの一撃を持ってしても
敵の武器は潰えてなかった

的確にラムで相手を抉り
自分の流れを掴む

砲撃の後 ラムによる突撃
そして 相手に回復の術をなくし 爆薬で仕留める

10日以上の戦闘の後
敵船に敗れる

命こそ奪われはしなかったが
大砲と金貨を持っていかれてしまった

敗北の後 敵の船を見つめる

自分との戦いで傷ついたのだろう
船は以前の状態から若干だが傷が目立つ船になっていた

これが自分か・・・
情けない思いが涌いて来る
だが、感受しなければならない
如何なる場合でも 敗者は敗者に変わりは無い

海賊に声をかける
「強くなってまた挑む」

海賊の女は相も変わらず
「あいあい」
と気さくな返事をして その場を後にした

カリカットの街で一服して思いにふける

「なぁ、邑雲?」

「なんだよ?」
邑雲は未だ治まりきらないのかぶっきらぼうに答える

「何で海賊に喧嘩売ったんだっけ・・・?」
どうも

今日はブーツの強化に挑戦してみました

サブの鋳造工芸君を起動してチュニス郊外で植物油の採集から
スタート

赤鉱石やら鉄材やらは加工して売り
450樽たまったのでレザーブーツを15足買ってリスボンで強化開始

結果

70まで強化してブレイクw

手元に残ったのは防御13という半端なブーツ1足

再びチュニス郊外で植物油の採集

450樽たまったのでレザーブーツを14足買ってリスボンで強化開始

結果
ブブッ
ブブッ
ブブッ

(#゜Д゜)ピキピキ

それでも最後に残った一足に祈りを込めて47まで成功

残る材料は1回分 あと1クリックで50・・・

神様ー!

ぴろーん

防御51のブーツができましたw

まぁ、これでいいかと思いましたが・・・
70ブーツ惜しかったなぁw
どもー
中の人です

幽霊船イベントのRP手記完結
と、注意書きのつもりでこれを書いてますが
※ネタバレ要素を多く含むのでイベントやってない方は注意してください
今更ですがね・・・

こういうストーリーイベントって好きです
結構ログとか飛ばしがちとは思いますが・・・
冒険クエストやってても結構面白い展開になったりして良いですよねw個人的には生物クエで見られるマラカイボの船乗りと交易商のやり取りが好きですw

で、動向ですが
4人目副官を雇いました

地方海賊のジョルジェです

ジョ・・・?

かぶっとるやんk
運び屋の男に頼み込まれ
幽霊船事件の真相を探るべく 酒場に居る祈祷師の元へ訪れた

この祈祷師には数日前の調査でも世話になった

見た目は子供にしか見えないが 世界を渡り歩き 占いを続けているらしい
今回は幽霊船から逃れるために気性の荒い男どもばかりの海賊船に乗り込み ここまで来たという

「こんにちわ。数日前はお世話になりました」

祈祷師の少女はこちらに気づいたようで
「またお客さんかい? 売れっ子のあたしは最近、目が回るほどの忙しさだよ。」

そうだろうと思う
港が北大西洋の異変の噂でもちきりになると同時に
街中では凄腕の占い師が来た と賑わっていたからだ

「まぁ、どんな依頼か言ってごらん。このあたしの手にかかれば何でもお見通しさ」
彼女は自信満々に言う

「先日の北大西洋の件なのですが」

「うむ、アゾレスあたりに出没した幽霊船についてだね」

少女が返してきた言葉に目を丸くした
幽霊船だと何故知っているのかと・・・

こちらの表情を察したのか
「何度も言うけど あたしには何でもお見通しさ。それに実際に襲われて、その船を目の当たりにしたんだ。そこの腰抜け海賊の船で何とか生き延びれたけどね」

そう言いながら 少女の目線が近くで酒を煽っていた男に向けられる

「うぅ・・・」
男は泣き上戸なのか 身体を震わせながら泣いていた

ふん!と鼻を鳴らしながら少女は再びこちらに視線を戻す
「そうそう、みる前に・・」

「フルーツの盛り合わせですね」
予想済みだと言わんばかりにさっと報酬を差し出す

少女は一瞬驚きの表情を浮かべたが すぐににやりと笑みを浮かべる
「ほほう・・・最後まで言えなかったけど・・・みる前に手数料として、フルーツの盛り合わせ2個をあたしに献上するように」

「く・・・前は1個だったはずでは」

「売れっ子の手数料は市場の需要に合わせて変動するもんなんだよ。あまり小さいことは気にしないようにッ!」

ただの負けず嫌いな気もするが・・・

払わないわけにもいかず 近くの露店で盛り合わせをもう1皿購入し 少女に手渡す

「よし ではこれから祈祷を行うよ。気を一点に集中するから静かにね…。はぁーーッ!!」

少女が目を瞑り祈りだす

「……ふむ、みえてきたよ。その幽霊船を操っていた男、過去に何かあったようだね…。真夜中に錯乱しながら、この街から出て行く姿がみえるよ、ウウッ…」

何か禍々しいものを感じとったのか
彼女は酷く汗をかいていた

「男が始終、口にする女の名は、オーレリア…。この男女に何かあったんだろうかね。この2つの魂は未だに休まることができず、この近辺を漂っているのを感じる…」

「・・・」

古びた指輪
海に出た男
オーレリア

少女は瞳をあけると
「さぁ、今回はこれで終りだ。オポルトの埠頭に佇む老人が詳しいことを知っているようだから直接聞いてみるといい」

酒場を後にして リスボンを出航する為、港に向かう

道中
「船長 その指輪はオーレリアの・・・」
琥鉄が何か話が繋がったのか そう呟く

「ここで立ち止まるわけにもいかないみたいだ」

-----

オポルトへは1日で到着することができた

街へ降り立ち埠頭へ向かう

埠頭の先には ただ座り込み 海を見つめる老人が居た

話しかけることなく彼の横に立ち 同じように海を見つめる
波は穏やかに一定のリズムで音を刻んでいた

老人がふと口を開く
「……航海者さん、とある男女の悲しい話をしよう。立ってないで横に座るといい」

言われるがまま 彼の横に座る
「・・・」

「この街に生真面目で情熱的な男、ジョルジェという若き船長がいた。彼は異国への憧れから、家業を継がず大海原へと航海に出ていたそうだ」

ジョルジェ

「ジョルジェにはリスボンに住む清楚で美しいオーレリアという婚約者がいた。2人の仲は誰が見ても微笑ましいほどのものだった。ジョルジェはオーレリアとの結婚資金を集めるために日々奮闘していた」

オーレリア

老人は声のトーンを落とす
「そんな絵に描いたような2人の幸せは一瞬にして崩れ去ってしまう…。ジョルジェの長きに渡る航海中に、オーレリアの姿を一目見たリスボンの名の知れた貴族が、彼女の美しい姿に心を奪われてしまう…」

「オーレリアとの結婚を申し出た貴族に、オーレリアの父は、婚約中であることを口にせず、結婚の申し出を受け入れてしまう。オーレリアはどうすることもできず、ついに強制的に式を挙げられてしまったんだ」

「オーレリアは貴族と結婚したものの、彼との贅沢な生活を拒み続けた。幾つの月日が過ぎただろうか。ついに貴族は腹を立て、とうとうオーレリアを牢獄に幽閉してしまう…。幽閉されたオーレリアは、その後も貴族を拒み続け、パンも水も一切口にせず、自ら命を絶った……」

「ジョルジェは遠方の航海から帰国後に、オーレリアが貴族と結婚した事実を知る。最期までジョルジェを想い命を絶ったことも知らずに、幸せに貴族と暮らしているという街人の噂を信じてしまい我を失ってしまう。そして、終りのない航海へと旅立ってしまった…」

「随分昔の話だが…北大西洋で不審船が確認された日。それがジョルジェとオーレリアの結婚を約束した日だった」

後ろで話を聞いていた邑雲が急に声をあげる
「じいさん!ちょっとまってくれ!何で街のヤツはオーレリアが無理矢理結婚させられたってジョルジェに教えてやらなかったんだよ!」

老人は首を横に振り
「教えなかったんじゃない。教えれなかったんだ。事実を伝え、ジョルジェが貴族に刃向かえば、教えた自分もただでは済まない。誰も…わしもそれに逆らえなかった…」

邑雲は治まらない様子で
「そんな事が・・・許されるのかよ!!」

「邑雲。気持ちは分かるが・・・落ち着け」
琥鉄がそれを制す

ジョルジェ
オーレリア
そして指輪

もしかしてと思い
「この指輪に何か覚えはありませんか?」
と古びた指輪を老人に手渡す

その指輪を見て老人の表情が一変した
「なんと! その指輪をどうしてお前さんが持っているんだ?」

老人にこれまでの事を話す

「ふむ…それは2人が婚約した記念日にジョルジェがオーレリアにあげた指輪…。オーレリアが幽閉される前に貴族に奪われてしまった物なんじゃよ…」

やはり、オーレリアの指輪か・・・

老人は指輪をこちらに返し
「航海者さん、悪いんじゃが、祈祷師さんに相談してその指輪は本人に返してやってくれないかのぅ? 祈祷師さんの言うように、2人の魂がお互い一緒に眠りにつくことができないのはその指輪のせいかもしれん…」

「オーレリアは・・・幽閉されてからも毎晩ジョルジェの航海の無事を祈り続けたそうだ。いつかジョルジェが帰ってきて、自分と結婚する日を夢見て・・・」

老人の頼みを聞き入れ
再びリスボンへ戻り 祈祷師にみてもらう
彼女は人使いが荒いだのと不満を漏らしながらも 指輪を手に取り 祈り始める
「ふむ、指輪があたしに語ってくる。女が泣いている。ウゥ…かなり強烈な想いだね…。この指輪は私の物だから、早く返してほしいと…。今もなお彷徨い続け指輪を探していると…」

「男の叫びも聞こえてくるよ…。オーレリアを疑ってしまい申し訳ないと、そして今でも変わらず愛していると…。毎年2人の記念日に渡していたバラの花束…」

そこで占いが終わったのか 少女が目を開け 指輪をこちらに返す
「この指輪はできるだけ早く持ち主のところへ返したほうがいい。それにあんたが持っていては、命の保障はできないよ?」

「この指輪にはそれだけ大きな・・・」

少女は頷きながら
「この街の高台でその女の霊気を感じる…。早く持って行ってあげな。あっ! その前にひとつ。報われない男の霊のために、バラの花束を一緒にお供えしてあげな」

いよいよオーレリアとご対面か・・・

広場の花売りにバラの花束を注文し
花束と指輪を持って高台へ向かう

そこには一人の女性が立っていた
どこか禍々しく・・・物悲しい雰囲気がする

あまり幽霊の類は信じたくは無いが…息を呑み
「オーレリア?」
そう 既に亡き人の名を呼ぶ

すると女性はこちらに振り向き
「…ゆ、びわ…。私の指輪…は、どこなの……」
そう弱々しく口にする 涙を流していた

彼女に指輪とバラの花束を手渡し
「ジョルジェは・・・あなたの事を疑ってすまない・・・今でも愛している・・・・と」
そう言葉をかける

オーレリアは指輪と花束を手に取り
「…ゆ、びわ…に、バラの花束…。私たちの、思い出の指輪…なのね。ずっと探していた……ありが…とう…」

「ジョルジェ…。私は…、何があろうとも、あなたの妻です…何があろうとも…」
そう言うと ふっと彼女から感じていた雰囲気が消える

その女性は驚いたように辺りを見回し
「あれ? 今までこんなところで何をしていたのかしら…? あなたご存知ない?」

そう聞かれるものの 幽霊が憑いていましたとは言えず
「いえ、今日は風が強いです。海を見られるなら気をつけたほうが良いですよ」
と言い残し その場を後にする

さて、調査もこれで充分だろうと
運び屋の男に報告を行う
再び目を輝かせながら彼は話を聞いていたが
「まぁ、その恋人たちも可哀想だが、最も救われないのはその貴族かもな…。その後の人生がいかに侘しいものか…」
そう悲しそうにつぶやいた

どうだろうか・・・
命を落としたのはオーレリアやジョルジェだけではない
怨念で襲われ 藻屑となった航海者達もまた渦中に飲み込まれてしまったのだから
それは、侘しさなどで覆されるものではない

そう思ったが
彼はこちらの手をとり
「ありがとうよ!これで仕事に専念ができるぜ!」と満足そうだったので それ以上関わらない事にした

さて・・・

それからリスボンで一晩を過ごし
出港準備も整え 再び海へ 

随分と予定が遅れたが・・・まぁ、そんな事はよくある
航海とはそんなものだ

リスボンの街から15日目の夜 北大西洋
邑雲が船員に大声で指示を出す
「よし!波も落ち着いてるな!船を降ろせー!」

自分の船から小さな船が降ろされる
その船に人は乗っていない

ただ、バラの花束と少しばかりの金貨だけを乗せ波に浮かばせる

邑雲が「へっ」と笑いながら
「なぁ船長?こんだけ広い海だとジョルジェもオーレリアも飽きねぇよな」

「そうだな・・・」

少しずつ遠ざかってゆく小船を見つめ

「二人の航海が如何なる時が来ようと永劫のものとなります様」

そうつぶやき空を見上げる
 
星々はまるで何かを祝福する様に 輝きに満ち溢れていた
どもども
中の人です

商会の方は色々と誘いを頂き
ありがたく思いつつもどうするかを決めかねています
深く考えるつもりもないんですがw

何をしようかねぇとリスボンでぼんやりとしつつ
サブキャラでバルパルをしています
で、たまたまそこでジェノ風の凄腕船大工氏&フレに出会ったのですが
久々にチャットをした気がしますw

船大工氏のフレの方に商会どうしようと話してると言われました
「やりたい事に合った商会を選ぶと良いですよ」


まぁ、そうッスねw
大海戦参加してみて
何したいか決めようと思いますw

大海戦までに最高貫通のキャノンをあと3基作らないと・・・めんどw
数日前----

南米の地を後にし
久しぶりに故郷のリスボンへ戻ってきた

幾つもの土地の風を身に染み込ませてきたものの
やはり故郷の風を最も愛しく思う

久しぶりに降り立った港で奇怪な噂を耳にした
ここ最近、アゾレス方面、主に北大西洋で消息を絶つ船があいついでいるという事だった
商船のみの話であるならば 海賊が原因かと思われるが
商船、軍船関係なく事が起きているらしい

面倒な事に首を突っ込みたくは無いが
当然、航海者という立場上避けられない話でもある

少し情報を収集しようと、港で運び屋の男を捕まえて話を聞いてみた

それが間違いだったのかもしれない
男は自分に詳細を確かめてくれと持ちかけてきたのだ

断ろうにも男は一歩も引くつもりが無いようで
しぶしぶ首を縦に振り 街の人々から情報を集めてまわった

その結果、手元に残ったのは古びた指輪ただ一つ
それ以降は何の進展も無かった

その後、事の事態を重く見た西欧諸国の航海者は
謎の不審船の討伐に力を結集し 見事撃退
蓋を開けてみれば 不審船の正体は幽霊船という驚きの結果であった

そして現在---

幽霊船の討伐から数日
リスボンの港では幽霊船の事は一切話に上がらず
ただ、北大西洋が以前の平穏を取り戻したとだけ噂が流れていた

自身としては危険が少なくなったというだけでそれ以上の想いは無かったが・・・

そろそろ次の出航に向けて準備を行おうと港で物資を買い集めていると

「お、まだ居たのか!」
聞き覚えのある声が後ろから響く

振り返れば あの運び屋の男だった
「北大西洋は平和になったらしいが・・・アンタ何か知ってるのかい?」
そう聞かれ、男に討伐戦に参加した事、正体は幽霊船であった事、その中に解せない言葉を放つ亡者の船があった事を伝えた

男は話に目を輝かせながら聞き込んでいたが
少し首をかしげながら
「でもなんで幽霊船の大群があの海域で現れたんだ?その原因とやらが分からないと根本的に解決されないような気がするのは俺だけかい?」

それもそうだ
討伐こそ出来たものの
何故幽霊船の大群が現れたのか。それが分からなければ同じ事が起こらない保障はない

しかし、不味い
この流れは・・・

後ろで琥鉄がつぶやく
「船長、出航が伸びましたね」

黙れ

男はこちらの手をとり
「ちょっとした野次馬根性ってわけじゃないが、真相が知りたいな…。この街に滞在している祈祷師に、ダメもとで聞いてみてくれないかい?」

断ろうにも男は「頼む」の一点張りで
とうとう気迫負けしてしまい、再び首を縦に振ってしまった

男の声援を受けながら港を後にし、本来なら船のつもりが 酒場に向かって足を進める事になった

その道中
「船長、毒を食わらば皿までという言葉を知ってますか?」
急に琥鉄がそう口にした

「何だ?琥鉄 さっきから随分と刺激してくるじゃないか」

琥鉄はこちらの苛立ちを察してか、少し首を横に振り
「いえ、私はあなたに仕えて長いですが・・・ ブラックマンバやコブラの身体に毒の抗体がある様に 人も然り 毒ではありませんが何かしらに対する抗体は出来るものだと思いました」

結局何が言いたいのか・・・
「お前の言いたい事は良く分からんな・・・とにかく とっとと済ませて出航するぞ」

「了解しました」
琥鉄は少し笑みを浮かべながら そう答えた

続く

-----書いた後
ログまとめれば良かったと後悔w
雑ッスねw

画像UPTEST

2008年9月3日
画像UPTEST
どんな感じになるんだろうかとテスト



以下テスト後
デスクトップをキャプって
1280*1024でJPEGでの張り付けは無理で70%に縮小したらOK
確認したら余計に縮尺されてるという・・・
色々見てみたけど現状でも相当キツイみたいです
これはないなぁとガッカリ

寝よう・・・
どうもー
1週間ですっかり秋ですね。船長の中の人です

突然の事でしたが昨日をもって「ジェノヴァの風」を脱会しました
理由は特に嫌々しいものは一切なく
ただ単純にどこかの国に恭順できる商会に入ってみたかったからです

しかし、思い返せば入会当初はレベルも低く何も知らない状態でしたw冒険1桁で一番高いレベルが海事の10台だったはずです

色んな方にお世話になりました。この場を借りて深く感謝の意を申し上げます

さて、現状ですが
若干冒険に飽きてきたのとピザの在庫が0になったのでオポルトで「管理上げ feat Pizza」中です
自作の調理室付きバスに乗り込んで作ってはいるものの
調理R10のせいで燃える燃えるw
F8に砂をセットしてキーボードとマウスを構えながら生産していますw

とりあえず、メインに1399枚、サブに1599枚、アパルト999枚、共有倉庫999枚のトータル4996枚作成予定です
作り上げるまでに管理技術が5から6に上がれば良いなぁと思ってますが・・・管理技術上げにくいッスねw

ピザ作りが終わったら集中的に海事レベル&スキル上げ
海事に途中で挫折したら羽飾りでも取りに行きますかねw

ともあれ、現在フリーです。今までと何ら変わらずやりたい事をやっていきますよ

思い出の花

2008年8月25日
前回の失敗から幾月が経ったのか

現在は南米東岸はリオデジャネイロの街に訪れている
1502年1月 探検家、ガスパール・デ・レモスにより発見されたかの街は自分の生れ育った土地と比べかなり気温が高く乾燥していた

街の人々も気候柄とでも言うのか、陽気な人柄が多く
部外者である自分達に対して寛容で非常に過ごし易い滞在となった

その街で「とある花」の調査依頼をされる事になった
依頼主は酒場で働く娘「ジセル」
早速、依頼人に話を聞いてみようと 酒場へ足を運んだ

「いらっしゃいませ。今日も暑いですねぇ。何を飲みますか?」
酒場に訪れると若い女性が1人 笑顔でこちらに声をかけてきた

「すいません。花の調査の依頼を頂いたのですが・・・ジセルさん?」

「・・・あ!赤い花を探してくれるんですね!ありがとうございます!」
彼女がジセルか。笑顔の似合う元気な女性だと素直に思った

早速調査に移る
「その花について、詳しく聞かせてほしいのですが」

「えっと、赤い花というのは私とおばあちゃんの思い出の花で、どうしてもおばあちゃんにプレゼントしたくて・・・」
そう話しながら笑顔から少しずつ彼女は顔を曇らせていく

「最近、おばあちゃんの元気がなくなってきてて・・・私、小さいときは泣き虫で、私が泣くたびにおばあちゃんが赤い花を摘んできてくれたんですよ。それがすごく嬉しくて、元気が出たんです・・・」
そう彼女は話すと少し言葉を濁らせた

すると、邑雲が小さな声で
「なぁ、船長・・・」
そう呟いた

「ジセルさん、あなたは何故、花の調査を私達に依頼されたのですか?あなたが話さなくてはいけないことを話してください」

「ばっか・・・!」
邑雲が小声で罵倒してくる

ジセルは言葉を詰まらせながらも
「だから、今度は私がおばあちゃんを元気にする番なんです。びっくりさせるために、花のことはおばあちゃんにはナイショなんですよ。でも、私はその花が咲いてる場所を知らなくって、航海者さんたちにお願いすることにしたんです」

場所は分からず・・・報酬も危険と比べればそこまで良くは無いが・・・

「分かりました。少し調査を進めてみます」

すると彼女は再び笑顔になり
「航海者さん、お願いします!」
と深くお辞儀をした

無事依頼主から情報を貰い、酒場を後にしようとした時
「航海者さん、ちょっと待ってくれ」
急に男の声に呼び止められる。酒場のマスターだった

マスターは無言で「こっちに来い」と手を振ってくる

マスターの元に寄り耳を傾ける
「ジセルに聞こえないよう、小声で話すぞ」

(おっさん。ここまで来て大声はないだろ)

「その赤い花なんだが、おばあさんはバイーアの船乗りから受け取っていたんだ。ジセルがあまりによく泣くんで、いくつあっても足りないと言ってたな」
バイーアの船乗り・・・か

マスターは立て続けに
「でも、花を見るときの二人は、いつも笑顔だったよ」

「ジセルさんにとっては、おばあさんとの大事な「思い出の花」なんですね」

「あぁ、そうだ。ジセルが話したとおり、彼女のおばあさんはもう歩くこともあまり出来ない。だからジセルは出せるだけの金を出してでも花の依頼をしたんだろう」

酒場を出て船に向かう

「船長。結局どうするんだ?」
邑雲はこちらを責めるように聞いてくる

「どうしようかね・・・バイーアで情報を得ても先は真っ暗だ」

「あーぁ、俺船降りてここで暮らそうかなぁ・・・楽しいし」

すると楓伐が大声を張り上げる
「何を馬鹿な事を!ここは危険な海域でもあります。一時の感情に身を任せては碌な目に会いませんよ!」

「うるせぇ!お前も話聞いてただろ!ここまできて「出来ません」じゃ格好がつかねぇよ!なぁ、船長もそう思うだろ?!」

そうだな・・・

「総員、出航の準備を。バイーアに向かう」

それを聞いて楓伐は呆れ顔を示す
「船長・・・あなたも随分と見返らない人ですね」

「まぁ、危険なのは今に始まったことじゃない。それに邑雲じゃないが、あそこまで話を聞いて何も出来ないじゃあ航海者としての名折れさ」

邑雲は俄然張り切った様子で
「おっしゃ!みんな!さっさと支度するぞ!」
船員達に手際よく役目を与え、自分も船体の様子を見ようと船に向かっていた

楓伐がそれを見て言葉を漏らす
「私は邑雲の事がよく分かりません。優秀ではあるにしろ感情に流されやすく無鉄砲だ。すぐに命を落とすのでは・・・と」

分からない・・・か
船長という立場からすれば
信頼する者のその言葉は重かった

煙草に火を点け一服をおく

「そうだな。そうかもしれない。でも、楓伐。お前は知らない話になるけど、昔ある海賊に襲われた事があってね。無論、敵の戦力がこちらを上回っていたが・・・
その時、邑雲は皆に指示を出し励まし続け、前に出て戦っていたよ。その甲斐もあったのか、その海賊を打ち倒すことも出来た。私はその事、あいつが自分の船に乗っている事を誇りに思う。自分の船には勿体無い。優れ、強く、そして熱い心を持った船乗りだと」

「もちろん楓伐。お前だってそうさ。いつも冷静で、船をしっかりと守ってくれている。琥鉄も含め、私は素晴らしい副官に恵まれて幸せだと思う」

楓伐は静かにゆっくりと息を吐き
「船長がそこまで仰るならそうなのでしょう。ですが、私は彼を私なりに見極めますよ」

そう言い放つと楓伐も船に向かって歩きだした

性格が合わないのは重々承知だが
「どうも、船長というのも大変だな・・・」
そう口から漏らし 船に向かった

その後、バイーアの船乗りから予想以上に細かな情報を得る事ができ

南米北東岸の上陸地点にて「思い出の花」アマリリスを発見することができた

彼女と彼女の祖母がこの花を手に取り
この花に勝らんとする明るい笑顔を見ることができるのなら
この航海の危険などとるに容易いものだろうと思う

邑雲「全部とって帰ろうぜ!その方がジセルちゃんも喜ぶって!」

楓伐「駄目ですよ!そんな事をしては生態に影響が出るかもしれません!」

「ふう・・・」
摘み取る花の数ほど気苦労は増えるばかりか・・・・

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